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特集 第17回脳のシンポジウム
神経・筋間のTrophic Interaction
培養骨格筋における興奮性の発達とそれに関与する神経性因子
Development or excitability in cultured chick skeletal muscle cells: the role of neurotrophic substances
加濃 正明
1
Masaakira Kano
1
1北里大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, School of Medicine, Kitasato University
pp.1041-1042
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905450
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- Abstract 文献概要
骨格筋細胞の分化や,分化した性質の維持に神経支配が重要な役割を果たしており,神経の栄養的効果(trophic effect)と呼ばれているが,この効果の少なくとも一部は,支配神経細胞からの栄養物質(trophicsubstance)によるものである1)。脊椎動物骨格筋細胞は活動電位を発生し,この活動電位が細長い細胞に沿って減衰することなく伝導することにより,筋細胞全長に速やかにゆきわたる収縮が引き起こされている。このような伝導する活動電位を発生する性質,すなわち興奮性も支配神経の栄養的影響下にある筋性質の一つである。正常な神経支配を受けている脊椎動物成体の骨格筋では,テトロドトキシン(TTX)で遮断されるところのNaチャネルの作用による活動電位を発生する。ところが神経支配を断たれたり,神経支配のない培養骨格筋などでは,TTXで遮断されないNaチャネルや7,8),無脊椎動物の筋細胞で見られるCaチャネルの作用による活動電位7)などが見られ,骨格筋細胞膜における興奮性の分化や,その維持に支配神経が重要な影響を及ぼしていることを示している。
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