Japanese
English
総説
興奮性アミノ酸
Excitatory Amino Acids
漆谷 徹郎
1
,
金澤 一郎
2
Tetsuro Urushidani
1
,
Ichiro Kanazawa
2
1筑波大学基礎医学系細胞生物
2筑波大学臨床医学系神経内科
1Department of Cell Biology, Institute of Basic Medical Science, University of Tsukuba
2Department of Neurology, Institute of Clinical Science, University of Tsukuba
キーワード:
excitatory amino acids
,
glutamate
,
receptor
,
excitotoxicity
Keyword:
excitatory amino acids
,
glutamate
,
receptor
,
excitotoxicity
pp.307-318
発行日 1991年4月1日
Published Date 1991/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900179
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はじめに
脳内に酸性アミノ酸が大量に存在し,それが中枢神経興奮作用をもつことは古くから知られていたが,その余りに普遍的な存在のため,神経伝達物質としての地位を獲得するに至ったのは,比較的最近になってからである。神経興奮作用を持つアミノ酸伝達物質としては,Glu,Aspを代表として,Cysおよびその誘導体,更にそれらを末端に持つオリゴペプチドであるという可能性も提唱されているが,神経伝達物質としての条件を満たすものは,現在のところGluのみといってよい。Glu研究は,中枢神経系に並行して甲殼類の運動神経における役割が確立したこと,更にアミノ酸受容体特異的な薬物が数多く開発されたことにより,最近長足の進歩を遂げた。その過程で,Gluのもつ二つの特徴的な面がクローズアップされてきた。その一つは,Glu作動性神経が中枢の各部位で非常に重要な生理的役割を担っていること,例えば記憶の機序に関係するとされている長期増強(LTP)という現象である。もう一つはその病態生理学的な一面であって,脳神経細胞死を伴う広範な疾患に共通に存在する機序とされている,興奮毒性という現象である。近年これらに関する優れた総説が数多く発表されているので1〜6),本稿では重複する話題はできるだけ避け,Gluの貯蔵・遊離,受容体およびそれ以降の細胞内事象,興奮毒性の機構解明のためのin vitroでの研究の進歩に関して,新しい知見を中心に紹介したい。
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