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I.はじめに
患者を,いわゆる"麻薬づけ"にしても,なおかつときおり襲う激しい痛みのために食事ものどを通らず,夜眠ることもできず苦しむ患者を経験された臨床家は,多いはずである。末期癌患者の頑痛(intractable pain)はすべての臨床科にとって共通の課題である。このようなcancer painは,経皮的コルドトミー(percutaneouscordotomy)のもっともよい適応である。経皮的コルドトミーは主として脳神経外科で行なわれてきたが,最近はわが国でも麻酔科でもこれを行なう施設がありしだいに普及しつつある。しかしながら欧米では盛んに行なわれる経皮的コルドトミーもわが国ではまだその臨床的意義について十分に認識されているとは言えない。わが国における経皮的コルドトミーの普及の妨げになっているものは,経皮的コルドトミーの技術的な困難さと,臨床各科におけるcancer painに対する麻薬の乱用あるいは安易な使用であろう。経皮的コルドトミーは,文献だけから見よう見まねでやろうとすれば確かに技術的には決して容易とは言えないであろう。しかしコルドトミーの手技に習熟した術者について十分な指導を受ければ,誰にでもできる簡便な除痛法である。自験例に基づいて経皮的コルドトミーをわかりやすく紹介するとともに,除痛法としての特徴について解説する。
Abstract
Clinical usefulness of percutaneous cordotomy for relief of intractable pain was discussed based on 156 percutaneous cordotomies for 125 patientswith intractable pain. Age distribution was 14 to 80 years old, 74 males and 51 females being selected for percutaneous cordotomy. One hun-dred and five patients (84%) had pain due to malignancy, 20 patients (16%) had pain resulting from a variety of etiology for pain.
Bilateral cordotomies were performed in 31 patients (25%).
Pain relief was obtained in 103 patients out of 125 cases (83%).
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