Japanese
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特集 第15回脳のシンポジウム
脳研究のあり方
形態学者より
Brain research as it ought to be: A proposal of a morphologist
米沢 猛
1
Takeshi Yonezawa
1
1京都府立医科大学病理学教室
1Department of Pathology, Kyoto Prefectural University of Medicine
pp.1143-1144
発行日 1980年12月10日
Published Date 1980/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905235
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- Abstract 文献概要
脳研究のあり方という課題は数多くの取り上げ方があるように思われる。それぞれの人の立場によってさまざまな形で取り上げられるからである。あるいは脳研究を管理する立場の人,あるいは現場で直接研究に携わる人,しかも形態学的方法により研究を行なっている人,機能的問題を追求している人等々,種々の人により,異なった取り上げ方がなされうるものであろう。
神経病理学という形態学的方法に立つものとして,脳研究のあり方という点を考える時,まず考えることは病理学が形態的変化の研究を指向しているとはいえ,その形態を特徴づける背景にある機能との関連ということである。神経組織ないし細胞の形態の上での特徴は,それが持つ機能を特徴づけるが,同時にその形態は機能により規定され,あるいは規定されうる。したがって形態の上での病変はその機能の変化をも意味している。そしてこの形態学的表現というものは機能的変化の理解によってその意義を持ってくるものである。この形態と機能とは人為的に分離し併立させて考えられて来たものではあるが,両者はともに単独では本質的な立場を取りえないもので,ともに媒介することによって自らの立場を持ちうるものであろう。
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