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I.はじめに
突然変異体は自然がわれわれに与えてくれた生物学研究の最も重要な材料の一つである。それは,生体を構成する遺伝子産物の一種類が欠けたときの生体反応を通して,その機能を垣間見ることができるからである。薬物を投与したり,手術を施したりすることによっても,ある程度の機能欠損をつくることはできる。しかし個体発生,成長,老化,生殖を通して,すべての時期に,本来存在すべき組織でのみ遺伝子産物を欠損させることができ,かつ外部からの傷害なしに研究できるのは突然変異体に限られている。
遺伝学は,突然変異の標識として,花の色,眼の色,翅の形などの可視的形質に始まり,酵素の欠損,アイソザイムなどの生化学的形質の研究に至った。現在では遺伝子そのものを単離し,遺伝子DNAの塩基配列を決定するところにまで達した。すなわち,分子遣伝学の確立である。神経系の発生や高次の機能についても,比較的単純な体制の生物である線虫やショウジョウバエを材料として,分子遺伝学的研究がさかんに行なわれてきた。その成果は,基礎的な知識の蓄積をもたらし,想像もしなかった時計の遺伝子とか,形態形成に遺伝子発現の調節を通して作動する遺伝子などの存在を明らかにしてきた。また各種イオンチャンネルや,神経伝達物質およびその受容体などの生命現象の基本に関わる遺伝子の機能についての研究も大きく進展した。
We described recent advances of transgenic method and also the brief review of the transgenic mice carrying foreign genes.
In this report, successful gene therapy of shiverer mutant mice and creation of phenotypic mutation by introduction of antisense cDNA in transgenic mice were described.
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