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I.はじめに
1968年,Duffyら1)が,いわゆるceroid-lipofuscinosisのlate infantile formに属すると思われる1例において,脳内神経細胞に蓄積している封入体(curvilinearbodies,CLBs)を脾や結腸にも見出し,ここにおいて初めて中枢神経系以外の身体組織において封入体の出現が電子顕微鏡下に観察され報告された。その後,諸家により同種の疾患について,神経系のみならず各部位の身体組織について電子顕微鏡による検索が次々と試みられ,神経細胞内に蓄積しているものと同様の形態と組織化学的性質をもった封入体が広く諸組織内に分布していることがわかってきた。封入体の超微細構造についても諸家の報告が相次ぎ,種々表現されてきた。そして,それらの構造物の疾患特異性や通常のリポフスチンとの関連性などの問題が論議の的となってきたが,現在なお,その生化学的性状やライソゾームとの関連性などの問題とともに活発な研究の対象となっている。
今回,私たちはSpielmeyer-Vogt病の1例について全身的に各種の組織を電子顕微鏡下に観察し,封入体の分布や出現の多少および形態的特徴などについて検索を行ない,さらに組織化学的性質についても検討した。以上の結果について,従来の報告例と比較検討を行なったところ,いくつかの興味深い所見を得たので報告する。
Distribution and morphology of the characteristic inclusions in a case of Spielmeyer-Vogt disease was investigated systematically in the nervous system and many other organs. The patient was a 21 years old Japanese female at death. She developed dementia, convulsion and visual disturbance around the age of 6 years and progressd gradually in intensity. She became almostly complete blind at the age of 14 years and was diagnosed to have Spielmeyer-Vogt disease. The clinical episodes went gradually downhill and she became idiotic with frequent niyoclonic jerks.
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