回顧と経験 わが歩みし精神医学の道・6
恩師 Walther Spielmeyer
内村 祐之
1,2
1東京大学
2日本学士院
pp.1031-1037
発行日 1966年12月15日
Published Date 1966/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201127
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前回で,ミュンヘンにおける研究生活を回顧したから,今回はどうしてもSpielmeyer先生の思い出に触れねばならない。しかし先生については,1935年2月,先生が突然の病気で亡くなつた直後に,限りない哀惜をこめた一文をしたためている(「神経学雑誌」昭和10年)。それをいま読み返してみると,まだ印象が生々(なまなま)しいうちに書いたものだけに,やや感傷的にひびく点はあるにしても,それは当時の私の真情ありのままを伝えたのであり,いまこれを捨てて,改めて書きおろすのは惜しい気もちがする。また先生の死の直後に書かれた多くの追憶文や,近ごろになつて発表されたHans Jacob(Grosse Nervenärzte III,1963),Willibald Scholz(50 Jahre Neuropathologie in Deutschland,1961)らの,先生に関する記述を読んでも,取り立てて目新しいこともない。
このようなわけで,ここに先生を同顧する道として,30年前に書いた一文を骨子とし,これに取捨を加え,また少なからざる事実や感想を書き足すという方法を採ることとした。読者諸氏がこれを諒とせられんことを望む。
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