特集 神経病理(第18回日本神経病理学会学術研究会)
第18回 日本神経病理学会学術研究会演題抄録・討議
Spielmeyer-Vogt diseaseの病理所見—封入体の形態と分布について—
中野 隆雄
,
酒井 晴忠
,
木下 潤
,
柳下 三郎
pp.535-614
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904870
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21歳。女。両親は従兄妹同士。5,6歳頃から知能低下進展。7歳以降大発作出現。10歳頃から視力低下。14歳失明。17歳以降起立歩行困難となり臥床。以後,高度痴呆。末期でミオクロヌス,球麻痺症状出現。21歳死亡。神経学的に筋緊張低下。深部反射減弱。眼底にcherry-red spot(−)。病理所見:脳は重量700gで萎縮が著明。とくに小脳で顕著。光顕では大脳皮質神経細胞が軽度ないし中等度の脱落。胞体は顆粒様物質の蓄積により腫脹著明。アストロサイトは蜂窩状の空胞を形成,内部に同様の顆粒が蓄積している。血管の内皮細胞やペリサイトにも同様の顆粒が多数出現し,螢光法で自家螢光を認める。小脳では顆粒細胞とプルキンエ細胞の消失が著明。白質はびまん性の脱髄とグリオーシスがみられる。その他の灰白質でも同様の所見が得られた。神経系および他の諸臓器に関して電顕的観察を行なった。中枢および末梢(Auerbach's plexus)の神経細胞の胞体内にはcurvilinear body(CLB),fingerprint pattern(FP),multilamellar concentric body(MLCB)などの封入体が無数に見られた。形態的にこれらの封入体の相互に移行像がみられた。アストロサイト,血管内皮細胞,ペリサイト,平滑筋,心筋,腎のpodocyte,macrophageにもCLBやFPが出現。
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