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はじめに
内藤と小柳ら31,32,35,40,41)やTakahataら49,50)によってその枠組みが明らかにされた常染色体優性autosomal dominant(AD)遺伝形式をとる遺伝性歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症dentatorubro-pallidoluysian atrophy(以下,AD遣伝性DRPLAと略す)はわが国に多発している疾患である。本症は発病年齢によって主体となる臨床症状が変化する点にその特徴があるが32,36,40),それに対応するような神経病理学的所見の特異的変化はかならずしも明らかではない。
AD遺伝性DRPLAは皮質下痴呆を呈する代表的疾患の一つでもあり16,34),痴呆の原因として脳幹被蓋の萎縮や脳重量の減少に加え,最近では各種画像診断にみる大脳白質の異常が注目されている6,23,53)。その大脳白質の異常に対応する病理像は同部の髄鞘の淡明化と思われる。しかし,画像診断所見6)と同様に,AD遺伝性DRPLAのすべての剖検例にこれをみるわけではない。一方,本症では脳幹被蓋の萎縮のみならず,脳幹そのものが肉眼的にも萎縮しているものが多い。しかし,そこにはグリオーゼなど組織反応がほとんどない。神経細胞の脱落や神経線維の消失などの変性による「萎縮」と区別する意味で,岩淵ら14,15,19,37)はそれを「小造り」と呼んできた。しかし,小造りの程度も症例によって相当異なる。従来,これらの問題が指摘されることはあっても,それがこの疾患においてどのような意義をもつ所見なのか,という点は明らかではない。
We studied the autosomal dominant hereditary dentatorubro-pallidoluysian atrophy (AD-DRPLA) clinicopathologically with special reference to its relation with the age at onset.
Materials and methods: Seventeen autopsied cases from 13 families, including three couples and their children, were examined. The age at onset ranged from four to fifty-seven years of age. We divided them into three groups according to the age at onset; 5 cases in the juvenile form (the first and second decades), 7 cases in the early adult form (the third and forth decades), and 5 cases in the late adult form (above the fifth decade).
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