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特集 第13回「脳のシンポジウム」
Ⅰ.小脳病理の最近のトピックス
小脳歯状核変性の臨床病理—ことにいわゆるDentatorubropallidoluysian Atrophyについてその特徴とOlivo-ponto-cerebellar Atrophyとの比較
A clinico-pathological observation on spino-cerebellar degeneration : A comparison of so called dentatorubro-pallido-luysian atrophy with olivo-ponto-cerebellar atrophy
飯塚 礼二
1
,
平山 恵造
2
,
前原 勝矢
1
Reiji IIZUKA
1
,
Keizo HIRAYAMA
2
,
Katsuya MAEHARA
1
1順天堂大学医学部精神経科
2千葉大学医学部脳機能研究施設神経内科
1Department of Psychiatry, Juntendo University School of Medicine
2Department of Neurology, Brain Research Institute, School of Medicine, Chiba University
pp.1267-1280
発行日 1978年12月10日
Published Date 1978/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905013
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I.はじめに
小脳歯状核は,他の哺乳動物の小脳外側核に相当し,その特有な形態と,ヒトでは小脳核中で最もよく発達していることからよく知られた神経核である。最近,哺乳類,ことに猿を用いてその機能的意味についての生理学的研究が広く行なわれ多くの成果が得られ36,46,47),また形態学的立場からはPalayの詳細な著書が刊行された43)。これらの近年とくに基礎的研究の分野で進歩の著しい小脳機能についての研究が,ヒトの臨床および病理の立場からどこまで適合し得るかが大きな問題となる。
一方,古くから多数の"小脳症状"を示す疾患について,その比較的画一的な症状のゆえに病巣と関連づけた分析があまりにも困難であるため,臨床的鑑別診断が不明確に陥る場合は,臨床症状を神経病理学的所見および遺伝関係と対比する疾患分類が行なわれて来た。またとくに歯状核の機能と臨床症状との関連を考えようとするならば,できるだけ病変がこの部分に局限した症例を対象として選ぶことが望ましいが,多くの疾患で歯状核に病変を見ることはしばしばあっても,この核がとくに代謝障害時を中心に様々の場合に病変を起こしやすく,またその病変は他の多くの中枢神経組織の変化の一部分現象としての意味しか持たないために,歯状核の機能と臨床症状との相関をとり出して考えるには適当ではない場合がほとんどである。
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