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I.パヴロフの研究
パヴロフが条件反射の研究に従事し,組織した時期には,まだ脳についてニューロンの生理学は未発達であった。この時期は大脳皮質の機能分化,その局在についての知見が解剖学的,臨床医学的に著しく進歩したが,主として刺激,切除などマクロ的な成績にもとづくものであった。これを受けてパヴロフ自身の条件反射の神経機構についての学説も大脳皮質の機能局在を非常に重視している20)。
パヴロフの実験原理は,種々な感覚刺激を,無条件反射としての唾液分泌と組み合わせて,本来唾液分泌と関係のない刺激を唾液分泌刺激,つまり条件反射の刺激に変えるものであった。条件刺激の提示の仕方を複雑に体系だてて変化させ,それに対応する条件反射の量的対応の追究から,パヴロフは大脳皮質に興奮と抑制の放散(irradiation),集中(concentration),誘導(induction),一般化(generalization,般化ともいう),分化(differentiation)といった現象が起こるものと考えた。もちろんパヴロフの実験では大脳皮質そのものの活動を直接見ているわけではないから,そこで述べられている神経機構は当然仮説的なものである。しかし他方ではパヴロフの仮説は観察された現象の体系化であるため当然それに対応する脳活動が存在するものと考えられる。
Abstract
Pavlov hypothetized neural mechanisms of the classical conditioning as formation of temporary connection between cortical centers of conditioned and unconditioned stimuli. Neuronal circuit diagrams involving only cortical neurons for establishment of conditioned reflexes were schematized by several Soviet physiologists such as I.S. Beritashivili, A.B. Kogan and others. Cortical theory of conditioning has been maintained by most Soviet physiologists unitl now (E.A. Asratyan, 1974).
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