Japanese
English
特集 学習と記憶の神経機構
オペラント条件づけの中枢機構
Brain mechanisms involved in the operant conditioning.
梅本 守
1
Mamoru UMEMOTO
1
1大阪市立大学文学部心理学研究室
1Division of Psychology, Faculty of Letters, Osaka city University
pp.926-939
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904983
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I.はじめに
今世紀の初頭,アメリカの比較心理学者たちは「試行と錯誤,そして偶然の成功」が学習の原理であると考えていた。たとえば,その代表的な一人であるTHORN-DIKE70)は箱に閉じ込められた空腹のネコが試行を重ねるにつれ,すばやく箱から脱出して外にある餌を取るようになるという学習行動を観察して,「効果の法則」を提起した。彼らにとって1928年紹介されたPAVLOVの「刺激置換の原理」に基づく条件反射の研究53)はきわめて興味深いものであった。彼らは自分たちの取り扱ってきた学習行動との関連性,差異を綿密に検討し,学習に関する2要因理論を完成させた28)。学習の基となる条件づけには二つの型があるという説である。二つの型の条件づけは理論家たちによって独自の名称が与えられているが,その一人であるSKINNERはPAVLOVタイプをレスポンデント条件づけ,上述したTHORNDIKEのようなタイプをオペラント条件づけと呼んだ62)。
筆者に与えられたテーマは表題の"オペラント条件づけの中枢機構"である。私事に触れて恐縮であるが,依頼を受けた時いささかの当惑を憶えざるを得なかった。それは久保田の最近の記述37)を引用すると"オペラント行動の神経メカニズムはまだまったく手つかずの状態にあるといってよい"というのが現状だからである。彼の論拠の手掛かりは与えられていないが,次のようなことが考えられる。
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