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I.はじめに
近来"いわゆる頭蓋内に異常血管網を示す疾患"に対する関心が高まり,ためにその発見される症例数はしだいに増加を示しつつある。しかしその原因本態はいまだまつたく不明の域にあつて,わずかに脳血管写像に基づく形態的の推論が行なわれているに過ぎない。それを先天性脳血管形成異常とするもの11)12),血管腫なりとするもの8)9),それを基とし2次的要因を考えるもの10),など主として先天性素因を強調する一派に対して,脳血管の後天的病変を重視するもの14),あるいはそれに帰するもの14)がある。後天性の病変の原因として頸部の炎症を推定するもの12),あるいはautoimmune diseaseなどを想定するもの14),内頸動脈閉塞性変化によるとするもの15などがある。また先天性奇形の基調を主張しつつも単に脳底部に異常血管網をみることに対する描写的命名をよしとする態度をとるもの13)などがある。著者は脳底部主幹動脈の広汎な後天性の閉塞によるとする立場をとつているものである1)〜7)。
著者は1956年最初の例に遭遇してから今日までに多数のこの種の異常脳血管網を示す症例をみたが,その内「ウィリス動脈輪閉塞症」と名づけるのを適当と考えられる症例(若年例7例,成人例4例)を後述のようなクライテリアのもとに選び出して報告した1)〜3)。これら著者の症例がはたして諸家の報告している症例とまつたく本態を同じうしているものかどうかということには疑義がないわけではない。しかし著者はそれらのものの大部分が著者の述べるような主幹動脈の変化が伴なうものではないかと推測しているものである。
A case of 8 year old boy whose clinical course has been followed up for 5 years is presented.
Aggressive survey of his arteriograms has been carried out, and arteriography has been performed 3 times altogether during the follow up period. The first arteriogram taken immiediately after the initial episode revealed partial occlusion of the circle of Willis, and the subsequent arteriograms which was taken 5 years later disclosed complete occlusion of the circle of Willis. The author believes that "Occlusion of the circle of Willis" is an acquired slowly progressing occ-lusive disease of main trunks of intracranial arteries including the circle of Willis, and is quite different from the idiopathic occlusion of the internal carotid artery which chiefly affects its cervical portion.
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