特集 神経学における最近の研究
<臨床>
脳血管攣縮
石井 昌三
1
,
野中 利房
2
1順天堂大学脳神経外科
2防衛医科大学校脳神経外科
pp.805-807
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904940
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くも膜下出血の患者に対して,今日では,脳血管写が,routineに,しかも早期に施行されるようになった。それとともにいわゆる,脳血管攣縮と呼ばれる特異な血管の狭窄所見に接する機会も多くなり,現今では,少なくとも脳神経外科医の間で,このような現象の存在を疑問視する人はいない。この脳血管攣縮は,実験的に,早期攣縮と,晩期攣縮の二相性に出現することが,BRAWLEY2)以来主張されて来ており,今日では,ほぼ定説となっている。しかし臨床的に問題となるのは,この晩期攣縮で,くも膜下出血後3〜4日ないしは,それ以後に発生し,7日間以上にわたって持続するのが通例である。しかも血管径の狭小化が,脳血管写上,2cm以上の範囲に及ぶ,いわゆる,diffuse typeと呼ばれる形態的な変化が,最も問題とされる。そして一般的に攣縮は,脳動脈瘤破裂後,21〜62%という高頻度で発生することが知られている4)。臨床的に,脳血管攣縮は,破裂脳動脈瘤患者の予後に大きな影響を及ぼし,またその存否が,脳動脈瘤の手術時期を決定する際に,重要な要素となることとも関連して,脳神経外科領域において,脳血管攣縮の原因の解明と,その治療法の開発が,大きなトピックの一つとなっている。
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