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Ⅰ.いとぐち
本症は1956年,筆者によって最初の3例の報告がなされた。それ以来,繰り返し数多くの論文19〜46)で意見を述べてきた。昨年には雑誌「脳神経外科」に総説を発表46)したが,これには本症に関する世界の関心と思潮を紹介し,あわせて,できうる限り文献を収集して研究の便をはかっておいた。したがって,本論文では内容の重複を避けて,筆者が昨春来実施してきた症例の長期追跡の成績を中心に述べたいと思う。この調査は意外に大きい収穫を与えてくれた。筆者が当初から予想したように,本症を一つの疾患単位として確立する役割を果たしてくれたようである。
本症が20年の歴史を閲しながら,今日に至るまでいまだに一つの定説に統合されえなかった理由は,次のような一見不思議ないくつかの問題点があったためである。それは本症が,1)乳児から老齢者に至るまでの広い発病域をもつこと,2)さらに,若年層と成人層に二つの高頻度発病域をもつこと,これらは,3)脳血管像と病理所見上著しい共通性をもちながらも,互に相違点をもち,ただちに同じものとは考えられないこと,などの諸点である。このため確たる病像の把握が困難で,その多様性に対応して多原因に起因する症候群とする考え方が大勢を占める傾向にあった。
This condition, which had attracted the world-wide attention for its peculiar cerebral angiogram, has been obscure in its character. Because of the dualism and of the difference of symptoms of the onset, most authors have inclined to support an opinion that it belongs to the polyetiological syndrome. In this study, we tried to clarify clinical features and characteristics by statistical and follow-up studies, and to define it as a disease entity.
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