特集 神経学における最近の研究
<生化学>
松果体と日周リズム
平田 扶桑生
1
1Laboratory of Clinical Science, NIMH
pp.699-700
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904899
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生物時計という言葉は生物が示す種々の生理活動の周期性を説明する言葉としてよく使われるが,その機構は決してよく解されているとは言えない。ここで述べる生物時計とは日周リズムと呼ばれる24時間を周期とする時間調整機構のことである。最近の研究により,イエツバメでは松果体が生物時計であることが示唆されている1)。イエツバメは松果体ホルモンと目されるメラトニン生合成に日周リズムを有するばかりでなく,運動,体温の日周リズムの維持に松果体が必須である2)。しかし,哺乳動物の場合,松果体は性機能との関係が強く示唆されているにもかかわらず不明の点が多い。しかし,松果体のメラトニン生合成のリズムは哺乳動物の生物時計およびその時間修正の機構を解明するための格好の材料といえる。本稿ではこれらの点について簡単に論述したい。
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