特集 神経学における最近の研究
<生化学>
記憶と学習の神経化学的研究の現状
塚田 裕三
1
1慶応大学医学部生理学教室
pp.697-698,704
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904898
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記憶過程の神経化学的研究は,その困難さにもかかわらず,生化学技術の進歩や神経化学的データーの集積に支えられて着実に進歩している。神経化学的にあつかわれる記憶とは,脳の情報貯蔵容量(長期記憶)といったものである。
実験動物としては,プラナリア,金魚,トリ,マウス,ラット,サル,が用いられており,これらの動物の営む学習行動(逃避学習行動,弁別学習行動)を指標として,脳内で生起する特殊な物質変化をさぐろうというものである。現在この方向のアプローチには,(1)相関性を求める方法(Correlative Studies),(2)代謝阻害剤を用いる方法(Interventive Studies),(3)記憶物質の移入(Memory Transfer),(4)学習能力低下動物を用いる方法(Model Animals with Learning Dysability)がある。
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