特集 神経学における最近の研究
<生理>
網膜の構造と機能
冨田 恒男
1
1聖マリアンナ医科大学第一生理
pp.662-663
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904884
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神経研究の大きな目標の一つが神経回路の解明にあることはもちろんで,このことは網膜研究においても同様である。一昨年(1976)米国のARVO(Association forResearch in Vision and Ophthalmology)の年次総会でRetinal Circuitryと題するシンポジウムが開かれ,その時の記録がInvest. Ophthalmol. 誌上(15;877-953,1976)に出ているが,その序としてNIHのGOURASの述べている事柄が網膜回路に関する研究の背景を要領よく紹介していると思われるので,まずその概要を記し,次いでこれに2〜3の付言を行って私の責を塞がせて頂く。GOURASの要旨は次のごときものである。
「網膜回路の研究はCAJALのGolgi法を主軸とする形態学的研究で始まった。しかしやがて電顕の登場となり,SJOSTRAND1)はいち早くこれを網膜の研究に導入,またSTELL2)は彼のGolgi-EM法(Golgi染色された網膜細胞を厚い切片からまず光顕で同定した後,これをさらに薄い切片として電顕でその微細構造を追跡する方法)を網膜の外網状層に適用,これらはその後の研究と相俟って細胞間のシナプス構造の解明に大いに貢献した。
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