連載 眼の組織・病理アトラス・81
網膜毛細血管の微細構造
石橋 達朗
1
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.1344-1345
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901775
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網膜毛細血管は,基本的には内腔を裏打ちする一層の内皮細胞とその基底板からなるが,しばしば内皮細胞の外側に周皮細胞(周辺細胞)とその基底板を伴っている(図1)。
内皮細胞は核のある部で厚く,内腔側にやや突出している。細胞膜は他の一般の細胞と同じように約10nmの厚さを持ち,3層構造を示す。内腔側の細胞膜表面はプロテオグリカンに富む糖衣によって覆われている。細胞質には核をはじめ種々の細胞内小器官,フィラメント構造などが存在する。細胞内小器官として,ミトコンドリア,粗面小胞体,リボゾーム,小胞,ライソゾーム,ゴルジ装置,中心小体,Weibel-Palade小体などが存在する。ゴルジ装置や中心小体は核周囲にみられる(図2)。Weibel-Palade小体は,一層の単位膜で囲まれた厚さ約0.1μm,長さ3μmまでの桿状構造物で,内皮細胞に特異的にみられる(図3)。小体の内部には数本から十数本の直径約15nmの管状構造が小体に平行にみられる。この小体は血液凝固因子の一つであるフォンビルブラント因子von Willebrand factor (vWF)の貯蔵部位である。
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