Japanese
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I.はじめに
編集担当の方から連合野の左右差についての寄稿の御依頼を受けたときに,私はたまたま,嗅覚刺激が聴覚の中枢機構に及ぼす影響についてある程度まとまった成績を得ていた。嗅覚と情動脳とは密接な関係があることは周知のことであるし,これに聴覚との結びつきがヒトの実験で見出されたことから,私は上述の難しいテーマを嗅覚と聴覚との関連に限って書かせていただくようにお願いした。耳鼻咽喉科医の私が未知の分野のあまりにも多い連合野について解剖学,生理学,神経学の専門家に御満足いただける論説を書く自信はない。そしてこれから述べる嗅覚と聴覚との関係も正常な日本人被検者を対象とすることによってはじめて見出された知見であるから,今後ともに西欧諸国では研究として取り上げられる可能性は少ないと考えられる。動物実験による精緻な研究手段によっても解決できず,生きたヒトを必要とするテーマの第一に言語の中枢機構の問題があげられる。ヒトの脳の言語機能の研究は脳損傷者の病態像の分析から始められたが,この手法も百年以上の歴史を経た今日では飛躍的な新しい知見が得られる可能性は低くなったといえよう。現在大きな話題を提供しているのは左右の脳機能に大きな損傷のないヒトの脳梁切断後の分割症状と,正常なヒトについての左右の脳機能の特性を推測するにたる感覚検査法の開発にある。
Introduction
In, 1974, Tsunoda found that in the Japanese, human voices except speech, cries of animals and chirps of insects as well as steady-state vowels are dealt in the verbal hemisphere dominance, but that in the Westerner, those are in the non-verbal hemisphere. In the Westerner, the verbal hemisphere deals with verbal sounds in the syllable units containing consonants which are expressed by logos and deals with calculation, while emotional voices expressed by pathos and cries in the natural world arc in the non-verbal hemisphere.
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