Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題—情動と自律神経・内分泌機能
情動と大脳辺縁系
Emotion and Limbic System
横田 敏勝
1
Toshikatsu Yokota
1
1北海道大学歯学部口腔生理学教室
1Department of Physiology, Hokkaido Uiversity School of Dentistry
pp.164-168
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903120
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系統発生学的観点からみると,人類の脳は三つの部分から構成されているように思われる。その最も古い部分は,基本的には爬虫類からの遺産で,脳幹の大部分を構成している。第二の部分は,下等哺乳類から継承したもので,大脳辺縁系に相当する。第三の最も新しい部分は,人類において最も高度に発達しており,新皮質などがこれに属する。情動という観点からは,第二の大脳辺縁系が最も興味のある部分と見做すことができよう。この部位は,かつては嗅覚と密接な関係があるとされ,「嗅脳」と呼ばれていたが,最近では,この部位に属する大脳皮質の大部分がBroca(1878)の大辺縁葉(grandlobe limbique)に含まれることに由来して名づけられた「大脳辺縁系」(limbic system)という用語が広く用いられるようになつて来た(MacLean,1952)。
本系統は,哺乳動物の大脳半球の脳室の入口を取り巻く輪状構造で,すべての哺乳類に共通のものである。また,大脳辺縁系と視床下部の間には密接な,線維連絡があり,この点は,情動のみならず自律神経,内分泌機能の観点からも特に重視されなければならない。
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