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第1土曜特集 自律神経のサイエンス
自律神経の中枢制御
情動と自律神経
Emotion and the autonomic nervous system
田村 直俊
1
Naotoshi TAMURA
1
1埼玉医科大学医学部脳神経内科
キーワード:
情動
,
自律神経
,
内受容感覚
,
中枢自律神経線維網(CAN)
,
機能性身体症候群(FSS)
Keyword:
情動
,
自律神経
,
内受容感覚
,
中枢自律神経線維網(CAN)
,
機能性身体症候群(FSS)
pp.529-532
発行日 2023年5月6日
Published Date 2023/5/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28506529
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近年,情動と自律神経活動の因果関係をめぐってパラダイム・シフトが生じている.情動が自律神経活動に一方向性の影響を及ぼすとするCannon-Bard学説(心身症学説)が否認され,情動と自律神経活動は内受容感覚(臓器に由来する求心性インパルス)の中枢自律神経線維網(CAN)への入力を受けて,CAN内で同時に惹起されると説明されている.一方,過敏性腸症候群,線維筋痛症,慢性疲労症候群など器質的な原因が確認できない病態がそれぞれ相互に共存すること,いずれの病態も情動異常と自律神経機能異常を伴うことから,これらの諸病態を包括する機能性身体症候群(FSS)の概念が提唱された.FSSにおける内受容感覚とCANの異常を証明する目的で,内受容感覚の正確さや機能的脳画像の解析が試みられているが,検査法の限界から決定的なエビデンスを得ることは現時点では困難である.
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