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特集 大脳連合野
「前頭葉,行動と進化」序論
Introduction to "Frontal lobe, behavior and evolution"
久保田 競
1
Kisou KUBOTA
1
1京都大学霊長類研究所神経生理研究部門
1Department of Neurophysiology, Primate Research Institute, Kyoto University
pp.1212-1216
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904820
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すべての生物が現在の状態になるには漸進的な変化によって到達したという事実を疑う生物学者はあるまい。つまり生物の進化は確立された事実であって,その証拠は古生物学的事実(古い時代ほど,より単純な生物の化石がみられること)と多様に適応した生物をヒトまで配列することができるという事実によっている。
外環境と生体との情報交換の過程で自然淘汰(Dar win)が行なわれ,生存の価値(survival value;B. F. Skinner)のあるものが,継代するうちにDNAとして伝えられるようになる。環境へ向けての動物の行動と,入出力を統合する神経系にも進化のみられることは誰も疑わない。神経系の進化の証拠は化石の研究,主に発掘された頭蓋の容積の,時代による違いによって容易に跡づけられる。しかし行動の進化の証拠は化石の形態的変化の観察からは類推しにくいものであり,意見が対立するところで,むしろ比較行動学的研究からの間接的研究からの類推が主となってくる(たとえばK. ロレンツ,行動は進化するか,講談社現代新書,418,昭51,日高敏隆,羽田節子訳,原著はEvolution and Modification of Behavior,1965,Univ. of Chicago,III.)。
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