Japanese
English
特集 神経病理(第13回日本神経病理学会学術研究会より)
シンポジウム:視床—その機能と障害
Ⅰ.基礎
視床背内側核のはたらきと前頭葉について
Thalamic dorsomedial nucleus neurons and their relations to prefrontal cortical neurons in delayed alteration performance in the monkey
久保田 競
1
Kisou KUBOTA
1
1京都大学霊長類研究所神経生理部門
1Department of Neurophysiology, Primate Research Institute, Kyoto University
pp.227-228
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903491
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
Jacobsen,Wolfe & Jackson(1935)が行なったチンパンジーの両側前頭葉切除術で遅延反応に対する影響が見られたが.この時1匹のチンパンジーで実験的神経症状の改善が見られた。この発表を契機としてサルで遅延反応の実験心理学的研究が始まり,ヒトでは精神外科的治療が始まった。前頭前野に強大な線維を送る視床背内側核の破壊はヒトでは精神症状の改善が認められるが(Spiegel,Wycis,Freed & Orchinik,1951)サルでの同核の破壊では遅延反応が脱落するという報告(Schulman,1964)と脱落しないという報告(Chow,1954)がある。ラットでの同核の破壊ではescape avoidance反応が低下し,自発的な筋運動が低下する(Vanderwolf,1962)といわれている。
アカゲザルが遅延交代反応を行なっている時,単一細胞活動を視床背内側核,前頭前野後背外側部から記録した。この結果,テコ押し運動を行なって活動する細胞活動が背内側核で見られ,この細胞が随意運動に関連している事実が得られた。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.