Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.序
単純ヘルペスウイルス(HSV)脳炎の研究報告や記載はきわめて多く,その臨床的,病理学的,ウイルス学的,免疫学的などそれぞれの面での特徴はすでに成書にも詳細に記載されている1〜4)。しかしながら,HSV脳炎におけるウイルスの感染源,初発感染部位,脳神経系への感染経路,さらにはHSV脳炎を含めた急性壊死性脳炎の全体像など今日なお十分に把握されてない根本的問題も少なくない。またHSVはHSV−1とHSV−2の2型に分けられ,型それぞれに異なった生物学的,生化学的特徴があり,その感染様式と疾患との関連が近年注目されている5〜7)。したがってHSV感染の諸問題の究明にはウイルス型別の分析が必要であり,すでに確立された病理学的諸記載についてもこの視点に立って再検討することが今後の主要課題である。
本稿ではこれらの諸問題へのアプローチの基盤を求めつつ,まずHSV脳炎と確定診断された1症例の病理所見と螢光抗体法の所見との対比検索結果を中心に記載し,その場合のホルマリン固定パラフィン切片の有用性,ウイルス分離実験と分離ウイルスの特微などを合わせて報告する。
Immunofluorescent studies were performed on a case of herpes simplex encephalitis, using formalin-fixed, paraffin-embedded tissues. Fluorescences revealed by FITC labelled anti herpes simpelex virus and identical to those shown in frozen sections were observed in both neurons and glia cells. The distinct nature, distribution and locali-zation of the fluorescent cells were clearly demon-strated by means of additional hematoxylin-eosin stain to the same sections.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.