増刊号 Common Disease 200の治療戦略
神経・筋疾患
単純ヘルペス脳炎
千田 光一
1
1日本大学医学部神経内科(駿河台日本大学病院)
pp.228-231
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904057
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疾患概念と病態
単純ヘルペス脳炎は,三叉神経節などに潜伏していたウイルスが何らかの原因で脳内に侵入して発症すると考えられている.ウイルス性脳炎の中では比較的頻度が高く,季節や流行と関係なく起こる散発性脳炎としては最も頻度が高い.また,特に目立った好発年齢もない.急性の髄膜脳炎としてみられることが多いが,亜急性の例や髄膜徴候に乏しい例もある.発熱,頭痛,意識障害,けいれんなどの髄膜脳炎で一般的にみられる症候に加えて,単純ヘルペス脳炎の特徴である側頭葉や前頭葉下部の病変を反映し,精神症状や失語などがみられることも多い.特徴的な局在性の主病変は各種神経画像検査でとらえることが可能で,脳波では左右差のある周期性同期性放電として認められることが多い.現在,有効で比較的副作用の少ない抗ヘルペスウイルス薬が利用できるが,単純ヘルペス脳炎では発症早期に治療を開始しないと予後改善につながらない.
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