病気のはなし
単純ヘルペスウイルス(1型,2型)感染症
倉田 毅
1
,
本藤 良
1
,
青山 友三
1
1東京大学医科学研究所病理学研究部
pp.570-577
発行日 1982年7月1日
Published Date 1982/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202532
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単純ヘルペス(HS)ウイルスは,ヘルペス群ウイルスの一員である.群としては約40種知られており,このうちヒトに感染をおこすものはHS(1型と2型),水痘一帯状庖疹,サイトメガロ,Epstein-Barr,およびサル由来のBの諸ウイルスである.この中で流行の形をとるのは水痘ウイルスである.
HSは,今までは口腔領域に水痘やアフタをつくるウイルスとして知られ,小児科や皮膚科の軽い疾患の原因と思われてきた.しかし,近年小児科はいうにおよばず,産婦人科,神経内科,眼科,耳鼻咽喉科など臨床全域にかかわる重篤な疾患を数々おこす重要なウイルスとして注目されはじめた.角結膜炎,繰り返し水疱を形成する口唇炎および口内炎,外陰部ヘルペス,新生児全身感染症,ヘルペス脳炎,成人の重篤基礎疾患存在下での全身感染,サイトメガロウイルスとの重複感染などをひきおこす.
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