特集 頸部腫脹の臨床
III.症例
頸部の亜急性壊死性リンパ節炎
梅田 良三
1
,
古川 仭
1
Ryozo Umeda
1
,
Mitsuru Furukawa
1
1金沢大学医学部耳鼻咽喉科
pp.887-891
発行日 1983年10月20日
Published Date 1983/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209688
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I.はじめに
亜急性壊死性リンパ節炎(subacute necrotizinglymphadenitis,以下SNLと省略)は,1972年藤本ら1)によって提唱された新しい疾患概念であるが,ほぼ同じ頃菊池ら2)(lymphadenitis showingfocal reticulum cell hyperplasia with nuclear debris and phagocytes)や,若狭ら3)(necrotizinglymphadenitis)によってもそれぞれ独立して同様の病変が報告されて以来,本症の特異的病態像から他のリンパ節炎とは区別して取り扱う必要があるとされてきた。その結果,病理学者の間ではこの疾患に対する関心がにわかに高まり,その原因,発生病理についての発表が相次ぎ,その病変に対する特異性については次第に認識されるようになった4)。
しかしながら,本症のように,頸部リンパ節の腫脹をきたす疾患を取り扱う機会の比較的多い耳鼻科医の間では,必ずしも十分な知識と理解が浸透しているとはいいがたい。決して稀な疾患ではない本症に対して,これまで適切な対処がなされてきたか,疑問な点も感じられる。
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