Japanese
English
原著
急性小脳性運動失調症の臨床—自験例6例の報告と本邦文献の展望
Clinical Study of Acute Cerebellar Ataxia
熊谷 貴代
1
,
原田 玲
1
,
杉浦 節子
1
,
鈴木 和子
1
,
福山 幸夫
1
Kiyo Kumagai
1
,
Rei Harada
1
,
Setsuko Sugiura
1
,
Kazuko Suzuki
1
,
Yukio Fukuyama
1
1東京女子医科大学小児科学教室
1Dept. of Pediatrics, Tokyo Women's Medical College
pp.841-853
発行日 1971年4月30日
Published Date 1971/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904681
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
軽い感冒様症状又は,頭痛,嘔吐,下痢等の非特異的症状や,麻疹あるいは水痘罹患後に,突然歩行不能,蹣跚歩行,企図振顫,眼振,言語障害等の小脳症状を発現し,一般臨床検査には特異的変化はなく,数日ないし1ヵ月のうちに,全く後遺症を残さず治ゆする疾患のある事は,すでに古くLeyden1)(1869)によつて記載されてきた。しかし,それを急性小脳性運動失調症又は,それに近い名前†をもつて,独立した疾患又は症候群として報告されたのは,それほど古い事ではなく,数も多くはない。従つて,急性小脳性運動失調症が1つの独立疾患単位であるか否かも明らかでない上に,その認識は一般に浅く,あまり知られていない。脳炎又は限局性脳炎の一型18),脊髄炎の一型23),一過性歩行障害症候群28)などとして今までに報告されたものの中には,我々が考えるに明らかに本症であろうと思われる症例が見受けられるのである。
当教室において,この約2年間に,急性小脳性運動失調症に概当すると思われるもの6例を経験し,交献上よりこの疾患の臨床像について若干の考察を行なつたので,ここに報告する。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.