Japanese
English
原著
Trichophyton violaceumによる小水疱斑状白癬の1例—自験例を含む本邦報告例の文献的考察
A Case of Tinea Corporis caused by Trichophyton violaceum:Report of a Case and Review of the Japanese Literature
庄司 昭伸
1
,
古川 雅祥
1
,
濱田 稔夫
1
Akinobu SHOJI
1
,
Masayoshi FURUKAWA
1
,
Toshio HAMADA
1
1大阪市立大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Osaka City University Medical School
pp.1021-1025
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202323
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要約 小児の顔面に発生したTrichophyton(T. と略)violaceumによる小水疱斑状白癬単独例の1例を報告するとともに,T. violaceum感染症について統計学的に考察した.患者は3歳,女児で左眉部から左鼻部にかけて数個の瘙痒性皮疹が存在するのみで他の部位に皮疹はみられなかった.培養の結果,集落は表面湿潤性で紫色を呈し,顕微鏡所見からもT. violaceumと同定した.また,T. violaceum感染症を文献的に検討したところ,昭和28年までは頭部浅在性白癬が大部分であったが,それ以後は減少の傾向を認めた.一方,昭和44年以後におけるT. violaceum感染症の調べ得た計54例中,小水疱斑状白癬単独例の報告は6例,そのうち感染部位が顔面であった症例は4例で,小水疱斑状白癬単独例の好発部位として顔面が考えられる.年齢的には12歳以下40歳以上に多いという2峰性を示し,この傾向はMicrosporum canis感染症と酷似している.
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