Japanese
English
特集 睡眠と意識障害
無動性無言症と失外套症候群の臨床病理
Clinical and Pathological Study of Akinetic Mutism or Apallic Syndrome
新井 弘之
1
,
植木 幸明
1
Hiroyuki Arai
1
,
Komei Ueki
1
1新潟大学脳研究所脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Brain Research Institute, Niigata Univ
pp.732-742
発行日 1971年4月30日
Published Date 1971/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904675
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Ⅰ.はじめに
開眼し,眼球運動があるが,無言で,自発運動や意志の疎通,喜怒哀楽の表出がない状態で,嚥下機能の保たれている特異な臨床像は無動性無言症(akinetic mutism,Cairnsら,1941)2)あるいは失外套症候群(das apallische Syndrom,Kretschmer,1940)3)として注目され,数多くの報告が積み重ねられてきたが,両者の臨床像の類同性や発生病理についてはなお種々議論のあるところである。今迄の報告例をみると,臨床所見と神経病理学的所見の記載を詳細に行なつた報告が少なく,詳細な臨床所見と病理所見を積み重ねる必要性を認め,著者らは無動性無言症を示した8例の脳腫瘍,3例の慢性頭部外傷および1例の一酸化炭素中毒よりなる多彩な12剖検例を検討し,その発生機序に関し意識障害の研究班会議(文部省科学研究)に発表したが1),その後さらに5剖検例を検索したので,これら5症例に臨床病理学的検討を加え,無動性無言症の発生機序について再び考察を加えてみた。
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