Japanese
English
展望
失外套症状群の諸問題
Zur Frage des apallischen Syndroms
吉田 哲雄
1
Tetsuo Yoshida
1
1東京大学医学部精神医学教室
1Aus der neurologisch-psychiatrischen Abteilung, Medizinische Fakultät, Universität Tokio
pp.161-172
発行日 1967年3月15日
Published Date 1967/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201162
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I.はじめに
最近,重症脳外傷,一酸化炭素中毒症などに関連して,失外套症状群(Das apallische Syndrom,Kretschmer31),1940)に対する関心がたかまつている。失外套症状群についてのKretschmerの所説は,広い視野に立ち,含蓄に富むものである。しかし,臨床所見の詳細にはふれず,基礎とした症例も,詳しく記載されたのは1例のみだつたためもあつて,この症状群をめぐる諸問題が残された。
一方,Cairnsほか6)(1941)がKretschmerと独立に提唱した無動性無言症(Akinetic mutism)も,普及してきた。これは,一般に,失外套症状群と同一または近縁とみなされることが多いが28)36)43)59)60)61)68),その異同は検討の余地がある。また,島崎52)(1939)が,すでにKretschmerより1年さきに,失外套症状群とほぼ同様の状態を,「人間的分化機能の喪失」という独自の見地で報告しているのがあらためて注目される。
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