Japanese
English
原著
無動性無言症と失外套症候群の神経病理学的背景—意識障害の本質理解のための基盤として
The Neuropathological Backgrounds for Akinetic Mutism and Apallic Syndrome: As a Fundamental Basis for an Understanding of Essential Features of Disturbed Consciousness
白木 博次
1
Hirotsugu Shiraki
1
1東京大学医学部脳研究所病理部
1Dept. of Neuropathology, Institute of Brain Research, Tokyo Univ. Med. School
pp.763-794
発行日 1971年4月30日
Published Date 1971/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904678
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Ⅰ.はじめに
筆者ら1)は,かつて,「精神医学領域よりみた昏睡の問題」について,総説を試みたことがあるが,一概に昏睡といつても,その物質的背景は複雑をきわめるものであり,研究方法や,立場のちがいによつて,その様相が異なつてみえるし,また,昏睡は,量的にみれば,意識障害の最も極端な原型と考えられようが,他の種類の意識障害との質量関係,移行の有無については,医学のあらゆる研究領野において,当然のこととはいえ,決め手を欠いていることに,改めて気付いたのである。したがつて,意識障害の神経病理学を,その対象にとりあげてみても,その前提となり,それぞれ,その内容をかなり異にする意識障害の概念規制が,確立されておらぬか,不明確である現段階において,その神経病理学を論ずることは,およそ無意味に近いと考えざるをえない。
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