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正常男子被験者12例および男子ナルコレプシー症患者10例について,終夜睡眠経過をポリグラフ的に記録すると同時に,カテーテルからの頻回採血によつて血中成長ホルモン値の変動を詳しく検討し,次の結果を得た。
A.正常被験者群
1)自然睡眠記録を行なつた10例全例において,入眠時点に一致して著明なHGH分泌がはじまり,約2時間の経過で最大のピークを示した。この期間は入眠後の深睡眠期の発現期とほぼ一致した。
2)意図的に入眠を早めたり,遅らせたりしても,入眠とHGH分泌の関連性は失われなかつた。
3)入眠期の最大のHGHピークに引続き,3〜9のピークが認められたが,ピークの高さは朝方にかけ減衰する傾向がみられた。
4)覚醒時,浅眠相においては分泌は抑制された。
5)逆説睡眠期にはピークが出現する頻度が有意に高く,HGH値は下降または低値を示す場合が多くHGH分泌は抑制されると考えられる。
6)入眠期にみられたHGHの著明な分泌が,睡眠以外の因子によりひき起される可能性は極めて少ない。
B.傾眠疾患群
1)周期性傾眠症,ピックウィック症候群の各一例については,夜間睡眠時成長ホルモン分泌はほぼ正常パタンを示した。
2)ナルコレプシー症患者においては,入眠時点の確認困難な3例を除いては入眠時の著明なHGH分泌が認められず,HGHピークは頻回にみられたが朝方にかけてむしろピークの高さは増加する傾向を示し,最高値に達する平均時間は約5時間であつた。正常者にみられた徐波唾眠相,逆説睡眠相とHGHピークの関連性は認められなかつた。分泌パタンの異常と,症状の強さ,肥満度,罹病期間,使用薬剤の種類などとの間に明らかな関連性は認められなかつた。
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