古典紹介
クレッチュマーの「失外套症候群」について
大塚 良作
,
倉知 正佳
pp.303-305
発行日 1975年3月15日
Published Date 1975/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202297
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この論文がはたして古典と呼ぶに相応しいものかどうかは,人によってその評価に差があるのではないかと思う。なぜならば,普通に古典と呼んでいるものはある時代までに,その価値が多くの人によって認められているし,多くの場合その命脈は現代にも通じている。
この論文でKretschmerが提唱した「失外套症候群」は少なくとも英語圏ではほとんど承認されていないのが実状ではないかと考えられる。因みに訳者が若干の英語の医学辞書や教科書をみたが"apallic syndrome"という用語は出ていない。本邦をも合む,ドイツ語圏では本症候群の名称がかなりしばしば使われており,「失外套症候群」というものが不完全ながら定着しているようである。なぜこのような現象が起こったかについては平井1)(1969)の総説や横山2)(1967)の論文を一読されれば明らかであるが,訳者の若干の意見も含めてここに簡単に解説を加えておきたい。
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