Japanese
English
特集 睡眠と意識障害
意識障害と行動異常
The Relationship between the Disturbance of Consciousness and Behavior Disorders
平井 富雄
1
Tomio Hirai
1
1東京大学医学部分院神経科
1Dept. of Neuropsychiat., Tokyo University Branch Hospital, the Univ. of Tokyo
pp.712-722
発行日 1971年4月30日
Published Date 1971/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904673
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Ⅰ.はじめに
意識障害の臨床概念は,必ずしも明確とはいいがたい。また臨床実地で意識障害の有無が問題となる病像が,複雑・多彩であることもよく経験される。たとえば,痴呆あるいは昏迷Stuporと教科書が教える病像は,臨床実地で,その鑑別が困難な場合がすくなくない。ある種の異常行動が,特定の「精神症状群」に相当すると考えるには非定型でその根底に意識障害があるかもしれないと考えても,その実証のえがたい場合もおおい。
意識障害のうち,脳機能と密接に相関ないし並行する症状が「昏恍」から「昏睡」にいたる意識混濁(Bewusstseinstrübung)であることを明らかにしたのは,笠松・島薗(1959)である。脳生理学的観点からすれば,これが意識障害の中核症状であることに異論はない。しかし,脳波上に全般性の大徐波の出現すること,外的刺激に対する脳波上の反応性の有無,あるいはそれと判る明らかな刺激なしに起こる脳波波型の動揺(fluctuation),などを尺度とする笠松らの基準が,意識混濁病像をつねに指摘しているとも,いちがいにいえないのである。
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