特集 睡眠と意識障害
睡眠と意識障害
島薗 安雄
1
1東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室
pp.639
発行日 1971年4月30日
Published Date 1971/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904664
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眠りが生体にとつてきわめて重要なものであることは,われわれの日常の経験が教えてくれる。たとえば疲れを回復させる最も有効な手段は眠りであり,睡眠不足が続けば心身の状態は目立つて不調になる。臨床面においても,患者の睡眠を安定させることは.すべての場合に,健康を回復させるための第一条件であり,また精神疾患では多くの場合に睡眠障害を伴う。
生体におけるこのような重要性から,睡眠の科学的研究はすでに前世紀から試みられていたが,その後,臨床と脳病理学との関連から,睡眠と関係の深い脳部位を想定する研究が急速に展開した。その最も代表的なものはMauthner,Economo,Trömnerらの業績であり,わが国でも内村の報告がある。また動物実験ではHess,Ranson,Nautaらの研究が有名であり,わが国の秋元,山口らの視床刺激の実験もこれに近縁のものである。
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