Japanese
English
特集 中毒性脳障害—第4回脳のシンポジウムより
B・有機水銀中毒と脳障害
水俣病の病理—特にその病理発生について
Pathology of Minamata Diseases, particularly on its Pathogenesis.
武内 忠男
1
Tadao Takeuchi
1
1熊本大学医学部病理学教室
1Dept. of Pathology, Kumamoto Univ. School of Med.
pp.95-106
発行日 1969年4月25日
Published Date 1969/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904585
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
水俣病の病理解剖やその成因に関する研究成績については,その都度発表1〜22)してき,また私どもの見解についてはくわしく記録23)してあるので,ここに今さら書くこともなくなつた。しかし,第二の水俣病といわれる新潟水俣病24〜25)の発生をみるに及び,再び公害として魚介類を通してのメチール水銀中毒症が重要な疾患であることを再認識しなければならない事態が発生し,他方外国とくにスエーデン26〜27)においても,このような問題が論議され,湖沼の魚類および山林原野の鳥類とくにきじに有機水銀含量が急激に増加して,公害としての危険をはらんでいることが報告されつつある現在の時点において,水俣病の病理とくにその発生病理についてまとめておくことは,やはり有意義と考える。
そこで,私は,はじめに水俣病の形態病理発生について述べ,次いでその原因病理発生についてまとめてみたい。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.