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特集 中毒性脳障害—第4回脳のシンポジウムより
A・CO中毒と脳障害
〔指定討論〕血液化学の立場から
Carbonmonoxide poisoning, especially from view point of Hematology
中尾 喜久
1
Kiku Nakao
1
1東京大学医学部内科
1Dept. of Internal Med., Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.21-24
発行日 1969年4月25日
Published Date 1969/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904574
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I
CO中毒の神経障害を血液化学の立場から交献的に考察することが,今回筆者に課された任務である。
周知のようにCOは酸素に比して200倍も強くHbと結合する。したがつて,HbがCOと結合して,血液の酸素運搬能が低下する。また,Hbの酸素解離曲線が左偏して,組織への酸素の供給が困難となる。その結果,組織のAnoxiaをきたし,CO中毒の病因の重要な一因子となることは間違いない。また,酸素欠乏による代謝異常のために血液・組織の化学的変化をもたらすことも注目されている。Estler1)による実験で,空気中に1%にCOを含ませて,その中でマウスを3分間呼吸させると血中HbCOは約63%に達するが,外気中に出すとすみやかに低下して60分後には4〜5%になるという。血液pHは一時低下して,7.36から7.25となるが,30分後には正常値にもどる。血糖値は不変であるが外気を呼吸しはじめると急速に上昇し,高値を保つ(図1)。
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