特集 精神療法の限界と危険
第1回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
シンポジウム「精神療法の限界と危険」に対する指定討論および一般質疑
指定討論
藤田 千尋
1
1慈恵医大神経科
pp.119-121
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200801
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私が討論者として指名された理由は,このシンポジウムのテーマで,やはり森田療法の立場で何かいつたほうがいいというお考えによつてではないかと思います。したがつて実際に森田療法を行なつているものとして,各演者の先生の話のなかから,それに関連する事柄を引き出して,率直に私見を述べさせていただくのが私の勤めだと思います。
順序は前後しますが,まず西丸先生のお話にふれてみたいと思います。西丸先生は精神療法というものの成立要件として,まず無選択にこれが成り立つものではなくて,友人を選ぶように,治療者が患者に対してなんらかの選択がはたらいている。つまり,その意味からいうと精神療法というのは,治療者側の選択によつて,そこに1つの限界があるということをいわれたように,受け取られました。これは森田療法をやつている私どもの経験からいうと,たいへんぜいたくな精神療法の成り立ちだろうと思います。
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