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特集 脳研究の進歩—東京大学脳研究所創立30周年記念
水平半規管系求心路の前庭神経核内ネウロン機構
Neuronal Organization of the Horizontal Canal System in the Vestibular Nuclei
島津 浩
1
Hiroshi Shimazu
1
1東京大学医学部脳研究所神経生理部門
1Dept. of Neurophysiology, Institute of Brain Research, School of Med. Univ. of Tokyo
pp.316-324
発行日 1968年8月25日
Published Date 1968/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904512
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I.緒言
運動の反射的調節に対して固有受容器proprioceptorが重要な役割を果たしていることは古くから注目されてきた1)2)。筋,腱,関節などからの情報が運動系にきりかえられて反射的な調節をつかさどる機序は,主として脊髄のレベルで,単一ネウロンの電気的活動を対象とした細胞内記録,あるいは単一神経線維の活動の分離記録等の技術を用いて詳細に調べられている3)4)。
固有受容器の一つである前庭迷路からの情報も脳幹を介して外眼筋,頸筋,四肢筋等の活動を反射的に調節している2)。この反射路に介在する前庭神経核ネウロンの活動様式とそのネウロン結合の機構を知ることは,最終出力である運動の前庭性調節の神経機序を理解する上に重要である。前庭神経核の単位電気的活動については,1943年Adrian5)によつてはじめて解析が試みられ,その後1950年代の半頃から単位活動を指標として多くの研究がおこなわれるようになつた。最近になつてわが国の伊藤らによつてはじめてこの核(主に外側前庭神経核)の神経細胞にも細胞内記録法が応用され,主として小脳からの影響について種々の重要な発見がなされている6)。
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