Japanese
English
特集 脳研究の進歩—東京大学脳研究所創立30周年記念
運動野と体性感覚野から視床などへの投射
Projections of motor and somatic sensory cortices to subcortical nuclei, especially to thalamus
草間 敏夫
1
,
川名 悦郎
1
Toshio Kusama
1
,
Etsuro Kawana
1
1東京大学医学部脳研究所
1Inst. of Brain Research, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.325-340
発行日 1968年8月25日
Published Date 1968/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904513
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
われわれはNanta法を使用して,第I運動野(MI)と第I体性感覚野(SI)が局在するといわれているネコの冠状回とS字状回から視床への投射を,その他の諸核への投射を参照しながら追究し15)16)18)20)21),その一端はすでに綜説的に発表した20)。しかし,その時点で例数に若干の不足があり,図示の仕方にも不満足な所があつた。それで,たまたまの機会18)を利用して,例を追加するとともに,それまでの例の所見をチェックしなおして図示の方法を改めた.この詳細は,まだ,印刷発表していない。それて,この所見に,その後にまとめたネコの第II体性感覚野(SII)が位置するといわれている前エクトシルビィウス回からの投射所見13)14)20)とサルの中心前回と後回を中心とする皮質野から視床への投射所見43を合せて綜説的にのべてみることにする。
ところで,視床の細胞ならびに髄鞘構築学的な研究は多い。しかし,ここでは研究者がそれぞれ独自の立場と所見を堅持して,いずれの分類がもつとも合理的てあるかの判定をつけるのが困難である。したがつて,このような研究には主観的な要素が入りこな余地がかなりあるようである。われわれは,もちろん,構築学的な分類の価値を疑うものではない。視床の核分類がどのような方法でおこなわれたとしても,構築学的な基準を逸脱した分類はいうまてもなく成り立ちえない。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.