Japanese
English
特集 精神薄弱
フェニルケトン尿症の脳病理
Neuropathology of Phenylketonuria
前田 進
1
Susumu Maeda
1
1群馬大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Gumma University School of Medicine
pp.124-132
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904488
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I.はじめに
精神薄弱の医学面で,最近最も注目されているのは,先天代謝障害による精神薄弱であろうが,その脳病理学的側面は,LipidosisなどのいわゆるNeuronal storagediseaseを除くときわめて不十分なままにとどまつているといつてよい。Lubarsch-Henke-RösslのHandbuch32)をはじめ二,三の神経病理の成書においても,28)この領域については簡単な記載にとどまり,ほとんどが非特異的なものと片づけている。先天代謝障害による精神薄弱の代表ともいうべきフェニルヶトン尿症(PKU)についてみても,本症がその頻度からみてそれほどまれなものでもなく,臨床的にも,生化学的にも,遺伝学的にもかなり明確な疾患で,乳幼児期におけるスクリーニングや,低フェニルアラニン食(低Phe-食)による治療もようやく軌道に乗りつつある一方において,その病理形態学的研究は,剖検例も少なく,検討も不完全なままにとどまつている。しかし十分な検討の行なわれた症例をみると,本症の脳病理学的所見の主座は白質領域にあることが注目される。しかもこれら白質病変は,単にPKUのみならず他のアミノ酸代謝障害,たとえばMaple Syrup尿症や,9)15)36)Lowe症状群16)などの脳病変と共通するところがあることも近年注目されている。
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