Japanese
English
特集 日本脳炎
日本脳炎の臨床—最近10年間の自験例を中心として
Clinical findings of Japanese Encephalitis
平石 克平
1
,
松原 義雄
1
,
角田 孝穂
1
Katsuhei Hiraishi
1
,
Yoshio Matsubara
1
,
Yoshiho Tsunoda
1
1都立豊島病院
1Metropolitan Toshima Hospital
pp.273-292
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904408
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
日本脳炎の臨床については,すでにいままでに多くの先学諸氏によつて繰り返し記述が行なおれている。しかし平素われわれがひそかに思うところは,現在本症の診断確定に最も有力な手段とされている血清学的,ウイルス学的検査法が広く実地に応用されるにいたつたのは,ほぼ最近10数年来のことであつて,それ以前には確認すべき検査法のないままに,その臨床所見もしくは髄液所見などに基づく臨床家の主観的診断に負うところが多く,したがつて過去の報告に用いられた多くの資料の中には,あるいは木症に似て非なる疾患例の混入が無かつたか否かは保証しえないという点である。今回材料を検討するに当つて,われわれはとくにこの考えに基づき,できうるかぎり正確な資料を得るために,次項に示すような基準によつて症例を厳選した。
選定に当つては,主治医の主観に拘泥することを慎み,なるべく客観的に選択することを心がけた。このようにして1957年から1966年までの最近10年間に,本症患者として都立豊島病院に収容された患者207例中から59例を真性例として確認した。以下これらの症例を中心として日本脳炎の臨床像を述べることとする。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.