Japanese
English
特集 いたみ
中枢性疼痛—とくにsuprathalamic levelにおける障害例を中心として
Central Pain and Suprathalamic Lesions
亀山 正邦
1
Masakuni Kameyama
1
1浴風会病院
1Yokufukai Geriatric Hospital
pp.87-100
発行日 1967年3月25日
Published Date 1967/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904391
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I.はじめに
脳内の障害によつて激烈な疼痛が起こりうることを始めて確認したのはEdinger1)である。彼は,脳出血の発作後,いちじるしく頑固な激痛発作を訴えつづけ,ついに自殺した女性の脳を検索して,その視床に病巣を証明した。その後,Déjèrine, Egger2),Roussy3)によつて視床症候群が確立され,中枢性疼痛は,その最も重要な中核症状の一つとみなされるようになつた。その疼痛の特徴は,原則として病巣の反対側にあらわれ,灼けつく様な,刺されるような痛みであり,快,不快の感情によつて強く影響される。疼痛の起こる半身は,痛覚の閾値は,むしろ上昇していることが少なくない。しかし,いつたん閾値以上の刺激が加わると,激しい痛みとなつて現われ,その場合に患者は,痛みの場所をはつきりと指示しえないことが普通である。しかし,視床以外の中樞神経レベルの障害によつても,同様の疼痛が起こりうることは,広く知られている。HeadおよびHolmes4)によつてこれらの問題は広く追究され,中枢性疼痛の発現機序に関して「解放説」も呈示されるにいたつた。その後,中枢性疼痛に関しては,多くの報告が重ねられている。
しかし,ここに一つの問題がある。疼痛として訴述されるものの内容は,きわめて多種多様である。
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