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特集 神経病理(第13回日本神経病理学会学術研究会より)
シンポジウム:視床—その機能と障害
Ⅰ.基礎
視床の個体発生—とくに線維結合との関連
The ontogenetic development of the thalamus with special reference to its fiber connections
新見 嘉兵衛
1
Kahee NIIMI
1
1岡山大学医学部第三解剖学教室
1The Third Department of Anatomy, Okayama University Medical School
pp.216-226
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903490
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Ⅰ.緒言
視床は間脳の背側部を占め,狭義では背側視床Thalamus dorsalisに相当する。背側視床は間脳のうちでもとくに系統発生とともに著明な発育を示す部分で,哺乳類の個体発生ではその後期において著しい分化と発育を示す。
間脳は他の脳部ならびに脊髄と同様に,発生学的には神経管に由来するものである。一般に神経管においては薄い背側の蓋板と腹側の底板によって結合される外側壁は,縦走する境界溝sulcus limitansによって背側の翼板と腹側の基板に分かたれることは,すでにHis9)によって初めて指摘されたところで,彼はこの境界溝を終脳まで追求し,脳および脊髄の全長を通じて上述のような縦の区画が可能であると考えた。しかし境界溝は中脳までは明らかに認められるが,それより前方では不明瞭で,境界溝が視床下部の乳頭陥凹に終るとするKingsbury12)の考えが現在では一般的である。この意味から視床はすべて翼板に由来するものと考えられる(図1)。
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