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はじめに
髄鞘は中枢神経,末梢神経の重要な構成成分であるが,本稿では中枢性髄鞘について主に述べることにする。通常,哺乳類では髄鞘は生後急速に形成される。しかし,中枢神経内の部位によって,その形成速度はかなり異なる52)。従来のパラフィンに包埋された脳の髄鞘染色標本で濃染する部位が髄鞘豊富,すなわち白質(髄質)といえる。しかし髄鞘の超微形態が明らかになりだしたのは,エポンなどの樹脂に包埋された標本を用いた電子顕微鏡観察ができるようになってからである。髄鞘はoligodendrocyteの細胞膜と細胞膜とが,その間にある原形質を押しのけた形で密着し,軸索の周囲にcompactに巻き付いたものである。横断面の構造は軸索を中心にらせん状に巻いたぜんまい様の構造といえる。このようにいってしまえば簡単な構造のように思えるが,実は計り知れないメカニズムが秘められており,未だ興味が尽きない研究対象である。たとえば"どのようにして軸索の周囲のみにまとわりつくのか","どのようにしてほつれずにcompactに巻きついていられるのか","どのようにして髄鞘の厚さがコントロールされているのか","脱髄のメカニズムはどのようなのか"などである。
Myelin is an important structure of central and peripheral nervous system. The ultrastructure of myelin sheath is a spirally-wound plasma membrane of oligodendrocyte round axon.
Hypoplasia of myelin has been recognized in several neurologic diseases of human and animals. Based on the neuropathological features of hypoplasia of myelin, three conditions such as dysmyelination, hypomyelination and remyelination are involved.
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