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特集 第6回神経化学懇話会
シンポジウムII/神経化学と行動薬理
脳内カテコールアミン代謝と行動変化
Relation between Brain Catecholamines and Behaviour
松岡 正己
1
,
今泉 礼治
1
Masami Matsuoka
1
,
Reiji Imaizumi
1
1大阪大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology Osaka University, Medical School
pp.516-521
発行日 1964年7月25日
Published Date 1964/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904104
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Catecholamine(CA)の代謝と作用に関する研究は微量螢光定量法の確立およびisotopeの利用によつて近年長足の進歩をとげ,その全貌はほぼあぎらかになつた。各種薬剤投与によつておこる脳内CA量の変動と,その際におこる機能の変化の相関関係よりある程度脳におけるCAの作用とその代謝を論じることは可能である。脳は血液脳関門によつて一般循環系から隔離せられCAは脳のごく一部を除いてこの血液脳関門を通過しえないと考えられ,脳内CAは一つの独立した系でありまた脳がことなつた複雑な機能単位から構成されておりしたがつてそこに出現する脳機能の変化を単純に解釈しにくいというような困難さのために脳内CAの研究には実験方法の面で,またデータの解釈という点で多くの困難が伴う。脳内CA量は単に合成と分解との平衡で規定されるばかりでなく,storage granuleでの貯蔵と遊出というようなCAの存在様式によつても影響をうけるものである。CA代謝酵素およびそれらによる不活化過程がCAの作用発現とどのような関連を持ちどのような動的平衡を保つているかということが脳内CA研究の重要な課題であると考えられる。つまり生合成されたNAがどのような機序で細胞内に蓄積され,そこからどのような機片で遊離あるいは分泌され一定の作用を現わしそしてどのように不活化されるかという問題は重要かつ興味ある問題である。
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