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特集 第6回神経化学懇話会
シンポジウムII/神経化学と行動薬理
慢性覚醒剤中毒の神経化学的研究
Neurochemical Studies on Chronic Methamphetamine Intoxication in Animals
台 弘
1
Hiroshi Utena
1
1群馬大学医学部精神科教室
1Department of Neuropsychiatry, Gunma University School of Medicine
pp.495-501
発行日 1964年7月25日
Published Date 1964/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904101
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I.
1953に松沢病院化学室グループによつて,動物における慢性覚醒剤中毒の化学的研究がはじめられた。その契機は人間脳組織のin vitroの糖代謝研究の際に精神分裂病者群に好気性乳酸生成の減少が見出され,同様の所見が2例の慢性覚醒剤中毒患者の脳にも見出されたことに端を発している(1951)14)。この所見はCa2+を欠くKrebs-Ringer-Phosphate液内で得られたものであるが,同じ条件下で高橋(康)(1953)11)によつても追試確認された。
台ら(1955)15)が慢性methamphetamine中毒のモルモットの脳sliceにおいても乳酸生成減退が起こることを報告してから,高橋はこれを追試し中毒ラットに脳hexokinase活性の減退と脳slice内のΔ7Pの減少を報告した(195912),196013)。葉田2)もモルモット脳hexokinaseの減少,monoamine oxidase活性の減少,おくれて増加を認め(1958),小林5)は通常のKrebs-Ringer液でも乳酸生成減退の認められること,高K+含有溶液では中毒動物と正常対照との問に乳酸生成の差が見られなくなることを報じた(1959)。その後江副ら(1962)1)は無細胞系で解糖系のcofactorの条件を再検討し,解糖活性の減少はATP補強によつて回復されることを示した。
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