Japanese
English
特集 第5回神経化学懇話会
一般演題
3.無細胞系における脳リン蛋白の研究
Studies on Phosphoprotein of Brain in Cell free System
織壁 永次
1
,
松井 英男
1
,
石川 晉次
1,2
,
島薗 順雄
1,2
Eiji Orikabe
1
1東京大学医学部生化学教室
2東京大学医学部脳研究所生化学部門
1Dept. of Biochemistry, Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo
2Section of Biochemistry, Brain Research, Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo
pp.807-813
発行日 1963年8月25日
Published Date 1963/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904069
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
序論
1932年にLipmannとLevene1)がphosvitinの水解物中からphosphoserineを同定して以来ある種のタン白はphoSphoserine残基を含むことが知られている。組織リンタン白のリンの代謝回転がきわめて早いことは,すでに1949年にFriedkinら2)によつて指摘された。Kennedyら3)4)は肝ミトコンドリアからphosphoprotein kinase(PPK)を含む分画を得て,この酵素がcaseinのserine残基のリン酸化をATPの存在下に行なうことを証明し,またある種の組織リンタン白はこの酵素の存在下にATPによつてリン酸化を受けるであろうことを示唆した。RabinowitzとLipmann5)はさらにPPKの酵素学的諸性質を検討し,phosvitinを基質として反応の加逆性をみとめたほか,いくつかの興味ある結果を得たが組織中の代謝回転の早いリンタン白との関係については何も報告されなかつた。一方Heald6)7)8)は,脳切片を交流電気刺激すると脳のリンタン白中へmedium中の無機P32減が急速に組み入れられることを発見し,このリンタン白分画のある程度の精製を試み,また最終的水解物よりP32-O-phosphoserineを得て,このリンタン白は(Ser-P)nの構造をふくむであろうと述べている。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.